みなさんは、新潟県の主要産業というと何が思い浮かびますか??
コメ?
日本酒??
せんべい???
金属製品????
・・・
皆さんのお住まいの地域や携わっているお仕事によっても、思い浮かべるものは変わってくることでしょう。
今回は、定量的なアプローチから、今の新潟県の経済がどうなっているのかを見てみたいと思います!
新潟県の県内総生産とその内訳
新潟県の県内総生産、新潟県で1年間に生み出されている価値はどのくらいの大きさでしょうか??
ちょっと私も考えてみました。
雑に計算すると日本全国の国内総生産(GDP)が500兆円くらいで、47都道府県で均等に割ると1県あたり10兆円ちょっと。とはいえ、日本は東京一極集中の国なので、もうちょっと小さくなるかな~。
ということで、だいたい10兆円弱かな~というのが、非常にラフな私の予想でした。
そんなことを考えながら調べてみたら、2020年度で約8.8兆円。当たった!嬉しい!!
ということで、新潟県は年間に8.8兆円の価値を生み出しているということになります。
では、内訳はどうなっているのでしょうか?
コメが8.5兆円くらいかなーと思った方、さすがにそんなことはありません。
江戸時代でもそこまではコメ比率は高くないはず。遡ると聖徳太子くらいまでいきそうですね。
本題に戻ると、内訳は下記のようになっています。
表の見方は、縦軸が産業分類の項目となっていて、数字は左から順に、
新潟県内のGDP総額と構成比、全国のGDP総額と構成比、そして全国に占める新潟県のGDPの比率(その項目の新潟県のGDP額÷全国のGDP額の計算結果)
となっております。(GDP額の単位は10億円、データは令和2年度のものを引用)
GDP構成比は、新潟県、全国それぞれ、大きいものほど赤色が濃くなるようにしています。
これを見ると、最も大きいのは製造業で全体の22%、次いで不動産業12%、卸売・小売業11%、保健衛生・社会事業9%・・となります。
県全体で見ると、GDPの内訳は全国とあまり変わらない構成比になっており、新潟市が東京のような役割を果たしつつ、さながらミニ日本のようになっていると言えるでしょう。
市町村単位でみると、たとえば燕市は域内総生産の11%を金属製品が占めていたり、十日町市は農業が3%を占めていたりと、各地域ごとの色がよりはっきりと見えてきます。
産業分類別の成長
では、続いて産業分類別の成長率を見ていきましょう。
ここでは、2011年→2020年までの10年間の成長幅を見ることにします。
年平均成長率ではなく、2011年と2020年の差分をとった数字になります。
この表では、10年間でGDPが伸びた産業、そして構成比が2%以上の産業に色を付けています。(単位は10億円)
大きく伸びているのは林業や食料品、化学、金属製品、電子部品、輸送用機械などです。
逆に、運輸・郵便業や金融・保険業、公務、教育など、域内でのサービス提供にかかわるものは軒並み低下しています。
これは、この期間で236万人→220万人と人口が7%ほど減少していることが要因ではないかと推察されますし、今後も人口減少傾向が続く以上は、同じような動きをするのではないかとみてます。
いま、ココが熱い!~規模×成長率で分析~
では、勢いがあって今後の伸びが期待できて、なおかつ一定のインパクトも期待できるのはどの産業領域でしょうか?
下図は、大変乱暴にまとめると、
「右上はデカくてアツい!右下は小さいがアツい!左上はデカいがアツくはない!」
ということです。
右上、結構ありますね。
不動産業、卸売・小売業、保健衛生・社会事業、建設業、専門・科学技術、業務支援サービス業、電気・ガス・水道・廃棄物処理業、食料品、化学、はん用・生産用・業務用機械、情報通信業、金属製品、電子部品・デバイスの12業種です。
この12業種を、先ほども少し言及した「県内の人口減少の影響を受けるか?」で分けます。県民が主な顧客になる業種は、新潟県の人口規模縮小の影響をダイレクトに受けるので、今後の人口減少トレンドを考慮すると、アツいとは言い切れないのが理由です。
そうすると、下記のように分かれます。
<県内の人口減少の影響を受ける>
不動産業、卸売・小売業、保健衛生・社会事業、建設業、専門・科学技術、業務支援サービス業、電気・ガス・水道・廃棄物処理業、情報通信業の7業種
<県内の人口減少の影響を受けない>
食料品、化学、はん用・生産用・業務用機械、金属製品、電子部品・デバイスの5業種
こうしてみると、やはり製造業が残ります。
他県で同じような分析をしてみても、恐らくは製造業の中の得意業種が残るような形になるのではないかと思います。
新潟県の場合は、この5業種です。
こちらは、新潟県の「にいがた産業ビジョン」からの引用ですが、
食料品は全県的に、化学は上越/下越を中心に、金属製品は三条・燕地域で、はん用・生産用・業務用機械は柏崎・長岡・小千谷など中越で、電子部品・デバイスは上越・中越で、それぞれ盛んになっていることが読み取れます。
こうして、各地に存在する強い産業が、それぞれ成長を続けることこそが、新潟県の経済を明るくし、最終的には新潟の未来を好転させていくことになるのでしょう。
まとめ
今回は、新潟県の現状の経済状況と、そこから見えてくる今後の発展が期待される業種について書きました。やっぱり食料品産業が強いんだ(米菓、清酒、水産練製品などなど)という予想通りの結果や、意外とコメは単体としてはGDPに影響していないんだという意外な結果、さらにはBtoCではあまり馴染みは無いけれども強い化学や電子部品など。
県民として暮らしている中で見えるものと、実際に数字を見たときに支えているものとの間にはギャップがあることを改めて感じました。
地方創生というと、やはり目につきやすい観光業や小売業を伸ばす方向に走りがちで、たしかにそれは印象面でのインパクトは大きくなります。しかし、それ以外にも新潟県には様々なポテンシャルがあるので、きちんと目を向けていきたいなと改めて思いました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!