新潟県の人口流出の現状と対策

新潟県の人口流出の現状と対策

こんにちは、Yagiです。
本日は、「新潟県の人口流出」というテーマについて論じていきたいと思います。

今回は、
①新潟県の人口流出の実態は?
②新潟県が目標とすべき水準は?
③新潟県は今後、人口問題にどう対処すべきか?
という3章立てでお届けしていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

①新潟県の人口の社会増減の実態は?

新潟県の2021年の人口社会増減は、25年連続減少でマイナスとなる、6,191人の転出超過となりました。
(「新潟県の人口移動 -令和3年新潟県人口移動調査結果報告-」より)
ちなみに、市町村別でみると、30市町村中28市町村で人口が転出超過となっています。
みなさん、転入超過になっている2市町村はどこだと思いますか??
湯沢町と出雲崎町です。
特に転入超過が続いている湯沢町については、この記事の後半で深掘りしていきます。

②新潟県が目標とすべき水準は?

では、人口の社会増減について、どの水準が目指すべきものとなるのでしょうか?
いま、新潟県で目指している水準は、下記のような形になっています。


2017年に立てられた新潟県総合計画では、基準の2016年度と比べて3700人ほど人口の社会増減を改善するという目標設定がなされています。
内訳をみてみると、
・・・皆さんの率直な感想はいかがでしょうか?
私は、(おそらく皆さんと同様)劇的な改革がなされない限りは、この目標数値は達成されないと思います。
ちなみに、新潟県のこれまでの推移を見ていくと、流出超過がデフォルト状態であるとご理解いただけると思います。
唯一転入超過となっている平成5-8年(1993-96年)は、バブル崩壊直後という社会背景があります。


つまり、人口流出が起こっていく構造自体は、大きく変えるのが難しいものということです。
主な流出先である首都圏と新潟を比べると、大学や企業の数や質において、埋まらない差があります。

もちろん、これは新潟県だけの問題ではありません。
関東では東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、関西では大阪府と滋賀県、そして福岡県。
それに加えて宮城県、山梨県、長野県の、計11県が転入超過となっています。
言い換えると、36/47県、実に77%の道府県が転出超過です。

③新潟県は今後、人口問題にどう対処すべきか?

ずっと転出超過だったから、他県も転出超過だからと、このまま指をくわえて眺めているわけにはいきません。
このままでは人口が減っていく一方ですから。
とはいえ、ここはかなり難しいところ。

前提として、人口の社会増減(人の移動に伴う増減)は、日本国内で考えるとゼロサムゲームです。

ちなみにゼロサムゲームとは、「参加者の得点と失点の総和(サム)が0(ゼロ)になるゲームのこと」です。
(野村證券HPより)
新潟から1,000人が東京に流出すると、新潟は‐1,000人、東京は+1,000人で、合計は0ということですね。
※出生数の増加や死亡数の抑制など、自然増減によるものは非ゼロサムゲームと呼びます。

本題に戻ると、ゼロサムゲームである以上は国内での人口の奪い合いの様相を呈してきます。
個別最適の観点では、各県が知恵を絞って県民の流出防止や流入獲得に動くべきかもしれませんが、
日本の視点からすると必ずしもそれが社会の発展につながるかは疑問です。

ふるさと納税でも同じことが起こりましたよね。
日本国内の限られた納税分を奪い合うことが目的化して、返礼品競争が過熱し、国が規制を掛けたのは記憶に新しいと思います。

今後、人口についても同じような動きが起こるのではないでしょうか?
「○○市に移住した20代の夫婦には100万円を贈呈」といった施策を打っている市町村もあります。
「元から居住していた人から集めた税金で、新たに移住してきた人にお金を渡す」という構図は、
たとえば過熱して200万、300万と金額が釣りあがっていくと、きっとどこかで限界を迎えるでしょう。

実際、人口が増加している湯沢町も、東京駅から1時間という地の利を生かして
移住者への新幹線定期代の補助(月額最大5万円、最長10年間)を行っています。
補助金とセットで新たなライフスタイルを提案し、結果として移住者を獲得できているため成功と言えますが、
移住者一人の獲得コストとして妥当なのか、フラットに検証する必要もありそうです。

とはいえ、お金以外でも人を動かすことはできるでしょう。
たとえば、粟島浦村は「しおかぜ留学」という制度で、島外から「島」という強みを活かして児童/生徒の受け入れを行っています。
十日町市など豪雪地帯は、「雪国」という切り口で移住者へのPRを行っています。
その地域にしかないもの、その地域でしか体験できないことの価値の訴求次第。というのが、ありきたりですが結論になるでしょう。

どんな魅力があるのか、まだまだ私もすべてを知ることはできていないので、各地を回って再発見していきたいと思います。


新潟が安定した人口基盤を築いていくため、県や国主導での取り組みも、もう一段と進めていきたいですね。
そして、繰り返しになりますが、国や県を動かしているのは私たちが選んだリーダーです。
次の選挙では、人口問題にも注目してみていきましょう。

新潟の未来カテゴリの最新記事